発散境界(拡大する境界)

発散境界では2枚のプレートが互いに離れていき、そのすき間を新しい地殻が埋めます。発散境界の多くは海嶺として海底に隠れていますが、一部は大陸を引き裂き、地溝帯(リフトバレー)をつくっています。

発散境界(拡大する境界)
イラスト:中央海嶺でプレートが離れていき、上昇するマグマが新しい海底をつくる。

発散境界とは

発散境界は、2枚のプレートが互いに遠ざかる場所にできます。プレートが離れると、その下のマントルが上昇してすき間を埋めます。上昇する岩石は高温ですが固体です。上昇するにつれて圧力が下がり、その一部が融けます。この融けた物質がさらに上昇して冷え固まり、新しい地殻になります。つまり発散境界は、新しいリソスフェアが生まれる場所なのです。

PB2002モデルには約94,800 kmの発散境界が含まれており、ほかの2つのタイプのどちらよりもわずかに長くなっています。そのうち大部分の約67,300 kmが海洋の拡大海嶺で、残りの約27,500 kmが大陸のリフトです。この2つは動く速さが大きく異なり、拡大海嶺の平均は年約4.7 cmなのに対し、大陸リフトの平均は年約1.8 cmにすぎません。

海嶺と海洋底拡大

海洋底拡大のしくみ

海嶺(中央海嶺)は、頂部に沿って割れ目が走る幅の広い海底山脈です。マグマがこの割れ目に上昇し、海底では枕状溶岩として噴出し、その下では岩脈やはんれい岩として固まります。プレートが離れ続けるにつれて新しい地殻は両側へ移動し、そこに新たなマグマが入り込みます。

地殻は年を経て海嶺から遠ざかるにつれて冷え、密度が大きくなって沈んでいきます。そのため海嶺は高くそびえ、古い海底は深いところにあります。頂部付近の高温の岩石の中を海水が循環することで熱水噴出孔ができます。1970年代後半に初めて海底で発見されたブラックスモーカーもその一つです。

地磁気の縞模様

海嶺で玄武岩が冷えるとき、中に含まれる鉄の鉱物が地球磁場の向きを記録します。地磁気はときどき逆転するため、海底には海嶺と平行に正磁極と逆磁極の縞模様が記録されます。片側の模様は、反対側の模様と鏡に映したように対称です。1960年代に認識されたこの対称性は、海洋底拡大説、そしてプレートテクトニクス全体を支えるもっとも強力な証拠の一つになりました。

速い海嶺と遅い海嶺

拡大速度は海嶺によって10倍以上も違い、その速さが海嶺の形そのものを決めます。以下の速度はすべてPB2002による全拡大速度、つまり2枚のプレートが離れていく速さです。

もっとも速いのは東太平洋海膨です。太平洋プレートとナスカプレートの境界に沿って、PB2002は平均で年約14 cm、場所によっては年約15 cmに達する値を示しています。太平洋プレートとココスプレートの間では平均で年約10 cmです。速い海嶺はマグマの供給が安定しているため、頂部に深い谷のない、なだらかで幅広い高まりになります。

大西洋中央海嶺は遅い海嶺です。北アメリカプレートとユーラシアプレートの間では平均で年約1.5 cm、南アメリカプレートとアフリカプレートの間では年約3.2 cmです。大西洋全体では年約2.5 cmずつ広がっています。遅い海嶺では、マグマの供給と供給の合間に地殻が引き伸ばされて断層ができるため、頂部は険しく、中央に深い地溝があります。

インド洋には両方の例があります。オーストラリアプレートと南極プレートの間の海嶺は平均で年約6.8 cmですが、ソマリアプレートと南極プレートの間の海嶺は平均で年約1.2 cmにすぎません。

アイスランド:陸上に現れた海嶺

アイスランドは、大西洋中央海嶺が海面上に姿を現した場所です。島の下にあるマントルのホットスポットがマグマを余分に供給しているため、ここの地殻は通常の海洋地殻よりもずっと厚くなっています。PB2002では、アイスランドの約56%が北アメリカプレート、約44%がユーラシアプレートの上にあります。

境界は1本の割れ目ではなく、割れ目・断層・火山が帯状に連なって島を横切っています。シンクヴェトリルでは、断層の崖にはさまれた地溝の中を歩くことができます。1783年のラキ割れ目噴火や、2021年以降レイキャネス半島でくり返し起きている割れ目噴火は、発散境界の火山活動の姿をよく示しています。高い円錐形の山ではなく、長い割れ目から流れやすい玄武岩溶岩があふれ出すのです。

大陸リフト:海が生まれるしくみ

東アフリカ大地溝帯

大陸が裂け始めるとき、まず大陸は引き伸ばされて薄くなります。断層にはさまれた地殻のブロックが落ち込んで地溝帯ができ、薄くなった地殻を通ってマグマが地表に達します。東アフリカ大地溝帯は、エチオピアのアファール地方から南へ、ケニア、タンザニアへと続いています。ここはアフリカプレート(ヌビアプレートとも呼ばれます)とソマリアプレートの境界です。

このリフトの動きはきわめてゆっくりで、PB2002ではソマリアプレートとアフリカプレートの境界沿いの平均は年約0.3 cmにすぎません。東アフリカをさらに小さなブロックに分ける地質学者もいて、ソマリアプレート自体もPB2002のプレートのなかで現在も議論が続いているものの一つです。それでもこのリフトには深い湖や活火山があり、地震も頻繁に起きています。標高5,895 mのキリマンジャロ山も、このリフトの近くで成長した火山です。

紅海とアデン湾

紅海は次の段階を示しています。ここではアラビアプレートがアフリカから十分に離れたため、リフトに海水が入り込み、その中央に沿って新しい海洋地殻ができ始めています。PB2002では、アラビアプレートとアフリカプレートの境界沿いの平均運動は年約1.4 cmです。アラビアプレートとソマリアプレートの間のアデン湾では、リフトが本格的な拡大海嶺となり、年約2.4 cmで開いています。

紅海、アデン湾、東アフリカ大地溝帯は、エチオピアとジブチにまたがるアファールで出会います。ここは3枚のプレートが接する三重会合点で、海が誕生するすべての段階を並べて見られる数少ない場所の一つです。

途中で止まったリフト

すべてのリフトが海になるわけではありません。引き伸ばしが止まり、埋もれた堆積盆地として残るものもあります。大西洋そのものも、パンゲアが分裂したときにできた一連のリフトから始まりました。そのうちいくつかは途中で止まり、ほかのものが開いて現在の大西洋になったのです。

地図上の発散境界

当サイトの地図では、発散境界はティール(青緑)色の線で示されています。海洋では、短い破線のトランスフォーム断層によって階段状に区切られています。トランスフォーム断層についてはトランスフォーム境界のページをご覧ください。収束境界と比べてみたり、プレート境界の概要に戻ったりすることもできます。リフト、海嶺、三重会合点などの用語は用語集で解説しています。

質問と回答

発散境界では何が起きているのですか?

2枚のプレートが互いに引き離されています。すき間に高温のマントル岩石が上昇し、圧力が下がることで一部が融け、そのマグマが冷えて新しい海洋地殻になります。陸上では同じ現象が、断層や火山、地震をともなう地溝帯として始まります。

発散境界の例にはどのようなものがありますか?

もっともよく知られた例は大西洋中央海嶺です。北部では北アメリカプレートとユーラシアプレートを、南部では南アメリカプレートとアフリカプレートを分けています。陸上では、東アフリカ大地溝帯やアイスランドのリフト帯が発散境界です。

海嶺でプレートはどのくらいの速さで離れていくのですか?

場所によって大きく異なります。PB2002では、太平洋プレートとナスカプレートの間の東太平洋海膨は平均で年約14 cm開いていますが、北アメリカとユーラシアの間の大西洋中央海嶺は平均で年約1.5 cmです。すべての拡大海嶺の平均は年約4.7 cmです。

アイスランドは海嶺の上にあるのに、なぜ海面上に出ているのですか?

アイスランドは、大西洋中央海嶺がマントルのホットスポットと重なる場所にあります。余分な熱とマグマの供給によって地殻が厚くなり、海面より高くそびえるようになりました。そのため、陸の上を歩いて発散境界を横切ることができます。

アフリカ大陸は2つに分裂するのですか?

東アフリカ大地溝帯はソマリアプレートをアフリカプレートから引き離していますが、その速さはごくわずかで、PB2002ではこの境界沿いの平均は年約0.3 cmです。リフト活動が数百万年続けば紅海のように新しい海ができる可能性がありますが、そうなるとは限りません。

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